- かしら
- I
かしら〔「か知らぬ」の変化した「かしらん」の転。 近世江戸語以降の語。 現代語では, 女性の話し言葉に用いられる〕※一※ (副助)「なに」「だれ」「どこ」など, 疑問詞に付いて, 不定のものをいう場合に用いる。
「なに~, おばけのようなものが見えたの」「なんていうの~, 結局, こちらの気持ちしだいね」
※二※ (終助)文末にあって, 体言またはそれに準ずるもの, 活用語の連体形などに接続する。(1)自分自身または相手に対して, 軽い疑問や不審の意を表す。「あした, お天気になる~」「あんなことしていいの~」
(2)相手に対して質問の意を表す。「あなた, どなたでした~」「デパートは九時にあきます~」
(3)自分を軽く促したり, また相手に同意を求めたりする気持ちを表す。「電車で行こう~」「もう少し待ってみよう~」
(4)打ち消しの語に付いて, (ア)願望や勧誘の意を表す。「早く春にならない~」「ちょっと手伝ってくれない~」(イ)危ぶむ気持ちを表す。 「失敗しない~」「こんなことをしてはいけません~」
〔江戸語では「かしらぬ」「かしらん」の形で用いられることが多いが, 時には「かしら」の形も見られる。 「何~ちつとは能の有るものだ/滑稽本・八笑人」〕IIかしら【頭】※一※ (名)(1)人や動物の首から上の部分。 あたま。「~を振る」「~, 右」
(2)髪の毛。 頭髪。「~に白いものがまじる」
(3)物事の最初。 初め。 いちばん上。「五歳を~に三人の子供がいる」「~文字」
(4)一つの集団を統率して, 上に立つ人。 特に, 大工・鳶(トビ)職などの親方。 統領。「盗賊の~」
(5)(「首」とも書く)人形の首。 特に, 操り浄瑠璃の人形の首。(6)能で, 演者の扮装に用いる仮髪。 鬘(カズラ)と区別し, 毛の長く垂れたものをいう。→ 黒頭→ 赤頭→ 白頭(7)能楽や長唄の演奏の冒頭。「つづみの~」
(8)刀の柄頭(ツカガシラ)。(9)漢字の構成部分の名称。 あみがしら・はつがしらなど。 かんむり。※二※ (接尾)助数詞。 和語の数詞に付く。(1)人や動物などを数えるのに用いる。「一日に千(チ)~絞(クビ)り殺さむ/古事記(上訓)」
(2)仏像などを数えるのに用いる。 体。「仏…幾~造り奉りたるぞと問へば/宇治拾遺 9」
(3)人の上に立つ者, 特に大将・大名などを数えるのに用いる。 方(カタ)。「今夕はお大名さまお二(フタ)~お泊りで/滑稽本・膝栗毛 5」
(4)烏帽子などを数えるのに用いる。「折らぬ烏帽子十~/義経記 7」
→ がしら(頭)~動かねば尾(オ)が動かぬ上にある者がすすんで行動しなければ, 下の者が働かないことのたとえ。~が打・つ頭痛がする。「ああ, 気が疲れて~・つ/浄瑠璃・氷の朔日(中)」
~隠(カク)して尻(シリ)を出す「頭(アタマ)隠して尻隠さず」に同じ。~堅(カタ)・し体が丈夫だ。「~・く生立ちたらば法師になりて我後世をとぶらへよ/平家(三・長門本)」
~を集・める大勢が寄り集まる。 頭をつどう。~を下ろ・す髪を切り, また剃(ソ)って出家する。~を=剃(ソ)・る(=丸・める)髪を剃って, 出家する。~を縦(タテ)に振・る承諾の意を表す動作にいう。~を横に振・る不承知の意を表す動作にいう。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.